Something Blue (A Wedding Portrait)

Something Blue (A Wedding Portrait)

2012-03-01

Talking about My Style 緒方 慎二 - 絵の描き方について

 
One-take finish style = Acoustic Drawings

I am a so-called 'perfectionist', whether I like it or not.
In the past, every time I started a drawing/painting, it used to take me a long time to finish it. I erased my strokes all the time. My style was mainly a long-take finish style...
One day, I realised: If I don't erase anything then I can finish my art works so quickly!

I gave up using pencil for (rough) sketching for a while and drew with a pen instead.
All of a sudden, I found my concentration had increased and I was having even more fun than before!

Acoustic Drawings means every stroke you take on the blank canvas or paper is like an echo - just as you can't erase a sound in the air, this style means that every stroke I have made is recorded forever.

I still love the trial and error method using pencil on paper. it's really important training to maintain my skill and find the essence of the subjects I am drawing.

I admire Musashi Miyamoto the legendary Samurai who was also a great artist.
His fighting style with Japanese swords is called two-swords fencing.
He expanded his theory from its original use for fighting and self defence to encompass all aspects of our lives.
Offence and defence, input and output, myself and others etc. are united, creating a balance of good and bad, weak and strong. 

I have adopted his style because it allows me to train my ability to focus.
I accept my imperfections so I'm happy to leave a record of all my results (both good and bad) on paper. I will just keep drawing like this.

※ I'd like to share this painting with you.
I'd like to dedicate it to a person who once lived in Brisbane. He passed away recently and he was a captain of the "CityCat" ferries.


「一発描き」 = "アコースティック・ドローイング"

ぼくは、いわゆる「完璧主義」の傾向が強いタイプの人間です。
これまでは気の遠くなる程の時間をかけて作品を仕上げていましたが、それだけではいくら時間があっても、また幾つ命があってもぼくの絵を通じての「志」を達成することは出来ないと悟り、それまで多用してきた鉛筆を暫くの間、封印することにしました。

ペンを持って真っ白い画面に向き合うとき、鉛筆からでは出てこないような緊張感と集中力を自覚し、以前よりも純粋に絵を描く喜びを感じました。

スタイルに"アコースティック・ドローイング"(響く音のような描写)と命名した訳は、空間に音が一旦響けば、消すことが出来ないように、 白い画面に引いたストロークがずっとそのまま残る絵の描き方に挑戦したいという思いを言葉に込めたかったからです。
もちろん、今まで続けてきたじっくりと時間をかけて対象物を観察する目と、表現する技を鉛筆を使って磨くことは、ぼくにとって重要な要素であることに今でも変わりはありません。

剣豪として、また『五輪書』で有名な、ぼくが敬愛する宮本二天(宮本武蔵・1584?~1645)は、二刀流改め『二天一流』を兵法だけに止まらず、生き方の心構えを共に説きました。ご存知の通り、彼は芸術家としても数多くの優れた作品を残しています。
この流派のぼくの勝手な解釈を申し上げると、我々が様々な問題に対峙する場面で、解決策や打開策を望むとき考えなければならないのは、ものごとには必ず両面があり、それをあらゆる状況下で水のようにかたちに囚われず、その二つの要素が円を循環するように行き来することであり、条件が満たされれば、その効果が自然に発揮されるというものです。ここで忘れてはならないのは、両面は常に一体であるということ。
両面とは、戦いであれば攻撃と防御、実務であれば学習と実践...その他にも自身と他者など例を挙げればきりがありません。
従って『二天一流』は、我々の生きる世界において、おしなべて活用できる考えとも言えると思っています。日本的な「和」の精神、あるいは禅の「空」や「無」の精神にももちろん通じます。

ぼくの絵の描き方に「一発描き」のようなアウトプット的な即興性を加えたことで、今までのじっくりと時間をかけて磨いてきたインプット的な沈思熟考型の絵にも、本当にいい影響が表れて来ています。
でも、即興の絵は素の自分をモロに見られているような気持ちがするもので、なかなか勇気がいることです。自分を画面に晒け出すことに少しは慣れてきたつもりですが、まだまだその途上です。だから自分の作品は、必ずそのまま皆さんに発信し共有したいと思っています。
この『二天一流』の精神を意識しながら、それぞれのストロークに気持ちを込めて、これからもただ描き続けます。

※ 今日掲載したこの絵を、先日お亡くなりになったある日本人男性のために捧げます。
この方は"シティ・キャット"という名称で知られる、ブリスベン川巡航フェリーの操縦士でした。
タイトルは "Story Bridge and CityCats" 。

2012年 3月 1日(木)

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